2022年、日本で働く人々の全体数は約5689万人に上ります。この中で正規雇用は約60%を占め、残り40%が非正規雇用者です。特に非正規雇用者の中でパートタイマーが約20%を占めていることが分かります。男女別に見ると、非正規雇用を選択する人の約70%が女性です。さらに年齢別に詳細を見ると、25歳から29歳の女性が正規雇用で働いている割合が最も高いことが明らかになりました。
一方で、パートという勤務形態は女性に多いというイメージがありますが、女性がパートを選ぶ主な時期は20代ではなく、35歳から39歳の年齢層であることが注目されます。この事実は、20代でパートで働く人々の背景には特別な理由があるかもしれないと考えさせます。
この記事では、パートのメリットとデメリット、そして20代でパートに就く理由や正社員を辞める動機について詳しく掘り下げていきます。
20代でパート勤務を選ぶ理由とその背景
20代がパートで働く理由
多くの20代が「好きなことをして生活したい」という理由でパートタイムの仕事を選ぶことがあります。20代と一口に言っても、大学を卒業したばかりの若者から30代への移行期にある人々まで、そのライフステージは多岐にわたります。現代は「100年時代」とも呼ばれ、20代はまだまだ人生の序章に過ぎないと捉えられがちです。
想像してみてください。もし100年生きるとしたら、好きなことを追求しながら生活できるほうが、人生はより豊かで楽しいものになるはずです。しかし、実際に好きなことだけをして生活するためには、何が必要でしょうか？
好きなことを続けるためには
自由な時間の確保と、自由に使えるお金が必要です。これにより、ストレスなく好きな活動に専念できます。この点は、単に趣味を楽しむためだけでなく、生きがいを感じる生活を送るためにも重要です。この生活スタイルは、クオリティオブライフ（QOL）を大きく向上させることにつながります。
正規雇用と非正規雇用の選択
現代の日本では、雇用形態は大きく「正規雇用」と「非正規雇用」に分かれます。正規雇用は終身雇用やフルタイム勤務が中心で、福利厚生が充実しており、年功序列による給与アップが期待できます。しかし、長時間労働や休日出勤が求められることも少なくありません。
一方、非正規雇用にはパートやアルバイト、派遣社員などがあります。これらは比較的勤務時間が短く、柔軟な働き方が可能です。最近では福利厚生も見直されつつあり、生活に柔軟性を持たせたい人に選ばれることが多いです。
特に20代でパートを選ぶ人々は、「好きな時間に働ける」というメリットを重視しています。自分のライフスタイルに合わせて仕事を選びたいと考える若者にとって、非正規雇用は魅力的な選択肢となっています。
パート勤務の選択肢とその魅力
パート勤務の基本条件とフレキシブルな働き方
パートタイムの雇用形態では、多くの場合、雇用期間に制限がなく、長期にわたって安定して働くことが可能です。給与はパート先から直接支払われ、残業については自由に対応することができ、必要に応じて断る選択もできます。また、勤務日は自身で調整が可能であり、休日を申告することができるため、プライベートとのバランスを取りやすいです。交通費の支給があることも多く、場合によってはボーナスが支給されることもあります。職場では仕事を一から教えてもらえる環境が整っており、契約期間が設定されていないため、自分のタイミングで退職することも可能です。
パートを選ぶ理由：ライフスタイルに合わせた働き方
パートタイムを選ぶ理由は人それぞれですが、正規雇用からの職場復帰を目指す方や、子育てや家事との両立を望む方にとって特に適しています。また、人生でプライベートタイムを優先したいと考える人々にとっても理想的な選択肢です。パートの求人は多く、採用されやすいため、さまざまなライフステージに応じた柔軟な働き方が可能となります。これらのメリットは、個々のライフスタイルやニーズに合わせた働き方を実現する上で大きな魅力となっています。
正社員を辞める主な理由とその背景の変化
正社員離職の現状と動向
2020年における日本の離職者数は727.2万人に上り、これに対して転職による新たな入職者数は約469.2万人でした。このデータから離職率は14.2％と算出されます。正社員が職を辞める最も一般的な理由として「給与が低いため」というものが挙げられています。次いで「人間関係の悪化」や「リストラ・ハラスメントなどの職場内トラブル」が原因で離職するケースも多く見られます。
2017年のデータでは、「給与が低いため」が4位で、「人間関係」が最も多い理由として1位に挙げられていました。これは、職場環境に関する問題が依然として重要な要因であることを示しています。
給与と経済状況の変化
2020年の大学卒業者の初任給は平均で22万6,000円であり、これは2017年の平均初任給21万868円からわずかに増加しています。しかしながら、この微増は日本の経済状況と物価上昇を考慮すると、生活を支えるためには十分ではないと感じる人も多いようです。
長期的なキャリア観と働き方の価値観
いわゆる「人生100年時代」を迎え、長期的な視点でのキャリア計画が重要視されるようになっています。正規雇用では福利厚生が充実し、定年まで長期間働くことが可能ですが、給与の増加が見込める一方で、現在の生活苦や職場での自己実現が困難であると感じる人が増えています。その結果、多くの人々は自分の時間をより価値あるものと捉え、「Time is money」の概念を実感し、プライベートの充実を求めて非正規雇用やパートタイムへの転職を選ぶようになりました。
このように、時間を有効に使うことの重要性が認識される中で、多くの人が働き方を見直し、自分のライフスタイルに合わせた職を選ぶ傾向にあるのです。
まとめ
正社員を辞める動機には複数の要因が絡み合っています。特に、経済的な理由や人間関係の問題が主要な理由であり、時間と生活の質に対する価値観の変化も大きく影響しています。2020年のデータを基に、給与が低いことや人間関係の問題が依然として離職の主な理由と考察されますが、それに加えて、長期的なキャリアの展望や自分の時間を有効活用したいというニーズが高まっていることも要因にあります。
この考察から、現代の労働市場では、単に給与の問題だけでなく、働き方の柔軟性や個人の価値観に合致する職場環境が求められているともいえます。また、正社員のポジションが以前ほど安定や保障の代名詞でなくなってきており、特に若い世代の中にはプライベートの時間を重視し、自分の好きなことを追求するライフスタイルを選ぶ人が増えていることが窺えます。
これらの変化は、雇用形態や働き方に関する今後の議論や政策にも影響を与える可能性があり、個々の働き手にとってどのような選択が最適かを常に考慮することが求められるようになっています。
