「バクは夢を食べる」と噂される存在についてお話ししましょう。バクが夢を食べることで私たちに良い夢をもたらすのか、その真相に迫ります。
バクが夢を食べることから、バクの意味や漢字についても、またバクのように夢を食べる悪魔がいるのかどうかについてもまとめました。
夢を食べるバクとは?
「バク」とは一体何かと問われた場合、通常、私たちが最初に思い浮かべるのは「夢を食べる生き物」という伝説的な存在です。
じつは獏(バク)とバクの混同は一般的にされていて、通常、獏は架空の生き物であり、バクは実在の動物であるため「獏とバクは無関係」とされています。
実際にはバクは存在している生き物なのです。ここで、その特異な存在についてお話ししましょう。
実在のバクについて
バクはその特徴的な姿勢から、アリクイと間違われることもあります。彼らは不思議な存在で、現実に存在することが信じられないほど謎に包まれています。
現在、野生のバクは中南米に3つの種類が生息し、アジアに1つの種類が存在します。さらに、2013年にはアマゾンで新種が発見されましたが、その新種については情報が乏しく、詳細が不明確です。
バクの野生個体数は非常に少なく、約1,000頭しか存在しないと言われており、彼らは絶滅の危機に瀕しています。自然界での彼らの生息地は森の中で、泳ぐことも得意なのだそうです。主な食物は木の葉、芽、水草、果物など。
そうした生態から、「夢を食べる」という伝説が生まれたのか、その由来について探ってみましょう。
伝説上の生き物・漠(バク)
バクが夢を食べるという話は、実は古代中国の伝説上の生き物である「獏(バク)」に由来している可能性が高いです。
「獏(バク)」は、そのままの読み方ですが、実在の動物バクとは異なる、伝説上の生き物を指します。
中国の伝説では、獏の姿は多様に表現され、その具体的な外見について複数の説が存在します。伝説上の獏と実在のバクが似たような姿をしていたことから、後者が「バク」と名づけられたと考えられています。
一般的に「これらは無関係」と認識されているため、これで十分ですが、中国の龍が周代以前の黄河流域に生息していたクロコダイルを主要な起源とする説があるように、古代中国には実際にバクが生息しており、これが霊獣・獏の原型となったとする説も存在します。
クロコダイルが龍の主要な起源とされると、さまざまな特徴が追加され、原型が失われているように、バクが獏の起源とされた場合も、多くの特徴が追加され、原型がわからなくなった可能性が考えられます。 現代のバクは、新生代の初期(始新世)から基本的な外観を大きく変えずに生存してきたバク上科の一員であり、現代の形態を持っています。
現在はその数が減少していますが、文明が興隆する以前には広く分布していた動物であり、古代中国の伝承に取り入れる可能性は充分に考えられます。
漢字とカタカナで意味が違う
一旦分かりやすくまとめると
漢字の獏(バク)は架空上の生き物、カタカナのバクは生物上・動物のバクになります。
バクが夢を食べるのはなぜ?
中国伝説の生き物・バクが由来
夢を食べるという特異な性質を持つのは、中国の伝説に登場する霊獣「獏(バク)」であり、実在の動物である「バク」とは別の架空の生き物です。 ここで言う「夢」とは、睡眠中に見る「悪夢」を指し、良い夢や将来の展望には関連しません。
なぜこの霊獣が悪夢を食べるという特異な特性を持つのか、その由来については明らかになっていない点もあります(おそらく学術的にも未解明)。
中国から日本に伝わる過程で「悪夢を食べる」動物に
奇妙なことに、中国の獏伝説には悪夢を食べるという要素は含まれておらず、逆に実在のバクの毛皮を座布団や寝具に使用すると疾病や邪気を払うといった信念が存在し、縁起物として重要視されていました。
この「邪気を払う、悪夢を払う」というコンセプトが、バクが日本に伝わる過程で「悪夢を食べる」という形に変わっていった可能性が高く、これが日本における「バク」の特徴として広まったのでしょう。(昔の人々の信仰が背景にあるようです)
また、日本でも室町時代には「獏(バク)」の絵や文字が縁起物として重要視されていたことが知られています。
バク以外にも夢を食べる悪魔はいる?
獏(バク)以外にも夢を食べる悪魔や精霊・妖怪・聖獣等はいるのかどうか調べてみたところ、該当する悪魔等はいませんでした。