過去に長野県長野市で県内初となるアカカミアリが発見されたとニュースになっています。騒動にもなったアカカミアリの見た目の特徴や発見・刺された場合にどうしたら良いかを調べました。
長野市でアカカミアリを初確認
長野県長野市で、県内では初となる特定外来生物「アカカミアリ」が発見され、当時大きな話題となりました。
これまで本州で住宅内から見つかった事例はなく、環境省も注意を呼びかけています。
発見場所は長野市青木島の住宅1階に敷かれたカーペットの下で、見つかったのは体長7ミリほどの衰弱した女王アリでした。
当初は「ヒアリ」として市に通報されましたが、専門機関による調査の結果、アカカミアリであることが判明しました。
これまでは輸入品に紛れ、太平洋側の港湾エリアで発見されるケースが多かったため、内陸の住宅で確認された今回の事例は極めて珍しく、拡散の可能性も懸念されています。
【本州の住宅で初 有毒アリ発見】長野市の住宅で特定外来生物のアカカミアリが見つかった。環境省によると、本州の住宅での発見は初。毒針で刺されると激しい痛みがあり、強いアレルギー症状を引き起こす可能性。 https://t.co/S4sJBfPVLn
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2018年4月20日
長野市で「アカカミアリ」発見 県内初、環境省など注意喚起
環境省信越自然環境事務所などは19日、特定外来生物の「アカカミアリ」1匹が長野市内で発見されたと発表した。米国南部から中南米にかけて分布する「ヒアリ」の仲間で、県内で確認されたのは初めて。腹部にある毒針で刺されると、強い痛みがあり、アレルギー反応(アナフィラキシーショック)を引き起こす場合もあるという。輸入品に紛れ込んでいたとみられる。ただ、県内に生息している可能性も否定できず、同事務所などは注意を呼びかけている。
引用:ヤフーニュース
アカカミアリの特徴と生態
出典:福岡県
基本情報
アカカミアリはアメリカ南部から中米にかけて分布するアリで、国内では硫黄島や沖縄県などで定着が確認されています。
見た目の特徴
- 体色は赤褐色で、頭部はやや濃い褐色
- 大きさは3〜8ミリと幅がある
- 働きアリには大小2タイプが存在し、大型の個体は四角い頭部を持つ
生態
- 亜熱帯地域の裸地や草地など開けた場所を好む
- 土中に巣を作り、雑食性で植物の種や甘露などを食べる
- 水に浮かんで移動できるため、分布拡大力が強い
毒性と症状
ヒアリほどではないものの、アルカロイド系の毒を持っており、刺されると強い痛みを伴い、水ぶくれのように腫れることがあります。
ヒアリとの違い
ヒアリの見た目と特徴
出典:福岡県
ヒアリの特徴
- 南米原産
- 体色は赤茶色で腹部が黒っぽい赤色
- 攻撃性が強く、動物や昆虫を集団で襲う
- 土で大きなドーム状のアリ塚を作る
- 刺されると痛みやかゆみのほか、重度の場合はアナフィラキシーを引き起こす
見分け方
両種は非常に似ていますが、アカカミアリは体表に「毛」があるのが大きな違いです。
一方でヒアリは赤みが強くツヤツヤとした体表をしており、これが識別の目安となります。
また、巣の作り方にも差があり、アカカミアリは地中に巣を作るのに対し、ヒアリは地上にドーム状のアリ塚を築きます。
発見したとき・刺されたときの対応
発見した場合
- 素手で触らない
- 踏みつけたり巣を壊すなど刺激を与えない
- 駆除する際は市販のアリ用殺虫剤を使用する
- 発見したら市役所や区役所に連絡する
通報時には、発見日時・場所・状況を正確に伝えるようにしましょう。
環境省では「ヒアリ相談ダイヤル(0570-046-110)」を設置しており、疑わしいアリを発見した際の問い合わせも可能です。
刺された場合
- まずは20〜30分安静にして体調を観察する
- 速やかに医療機関を受診する
- 容体が急変した場合は救急車を呼ぶ
- 受診時には「アリに刺されたこと」「アナフィラキシーの可能性があること」を伝える
個人差が大きいため、症状が軽くても油断せず、必ず医師の診察を受けることが推奨されます。
過去の発見事例
毒アリ「アカカミアリ」、大阪で発見 刺されると激しい痛みhttps://t.co/c63mMWOURr pic.twitter.com/JfmYNLrAFM
— LINE NEWS (@news_line_me) 2017年6月27日
2017年に発見された場所
大阪・神戸・名古屋・山口・東京・静岡・福岡など、各地の港湾や流通施設で確認されています。
- 6月17日、大阪府大阪市の南港(フィリピンから到着したコンテナから5匹)
- 6月21日、神奈川県神戸市中央区の人工島・ポートアイランド(コンテナヤードで約100匹)
- 7月21日、愛媛県四国中央市の三島川之江港で陸揚げされ、7月24日に同市内の事業所敷地に搬送されたコンテナ内で発見
- 7月26日、愛知県弥富市の名古屋港で陸揚げされ、8月1日に岐阜県岐阜市で荷下ろしされたコンテナ内で発見
- 8月9日、山口県防府市の三田尻中関港(同港で陸揚げされ、8月10日に同市内の事業所敷地に搬送されたコンテナ内で発見)
- 8月17日、東京都品川の大井埠頭(コンテナヤードで約50匹)
- 9月8日、静岡県榛原郡吉田町(事業者敷地内運ばれた積荷より死骸1匹)
- 9月28日、福岡県京都郡苅田町(事業者敷地に運ばれた積荷より1匹)
- 10月4日、神奈川県川崎市川崎区(事業者敷地内に搬入されたコンテナ内で約10匹)
- 11月21日、広島県広島市(事業者敷地内に搬入された貨物から3匹)
2018年に発見された場所
4月には長野市の住宅で1匹が見つかり、内陸部での発見は初めての事例として注目されました。
- 4月14日、長野県長野市(住宅内で1匹)
まとめ:小さな存在でも油断禁物
アカカミアリとヒアリは、見た目が似ていて素人では判別が難しい害虫です。
共通して言えるのは「決して素手で触らない」「発見したら速やかに通報」「刺されたら必ず医療機関へ」という基本的な対応です。
外来種問題は身近な生活空間にも及ぶことがあり、今回の長野での発見はそのリスクを改めて示しています。冷静な対応と正しい知識が大切です。