株式市場のニュースやSNSで時折見かける「仕出株（してかぶ）」という言葉。これは主に仕手筋（してすじ）と呼ばれる投資家やグループが短期的な価格変動を狙って仕掛ける銘柄を指します。
仕出株とは？
「仕出株」とは、一般的に仕手筋が仕掛ける銘柄のことをいいます。特定の投資家集団が集中的に売買を行うことで、株価を急騰・急落させる対象となる株です。仕出株という表現は、もともと「仕掛けられた出物（銘柄）」という意味合いを含んでいます。
多くの場合、時価総額が小さく、流動性の低い中小型株がターゲットになります。こうした銘柄は少ない資金でも株価を大きく動かしやすいため、価格操作の対象にされやすいのです。
仕手筋が儲ける仕組みとは？
仕手筋は、次のような流れで利益を得ます。
- 安値のうちに大量に株を仕込み、保有する
- 意図的に買い注文を入れて株価を上昇させる（※この段階で話題になる）
- 個人投資家が後追いで買いに来る（＝高値掴みをさせる）
- 仕手筋は高値圏で売り抜けて利益を確定する
このように「仕手筋」は、大量の売買や煽りによって市場に動意づけを起こし、高値で売り抜けるという戦略を取ります。
仕出株に仕手筋が注目する理由とは？
仕手筋が狙う銘柄には、いくつかの特徴があります。
- 浮動株が少ない（市場に出回っている株が少ない）
- 業績・配当が話題にならない小型株
- 不動産など含み資産が大きい
- 仕掛け次第で急騰しやすいチャート構造
たとえば、過去に村上ファンドが注目した銘柄のように、「本業は赤字だが、都心に遊休不動産を多く持っている」など、帳簿上の価値が高い企業もターゲットになります。これを市場参加者に知られることで、「実はこの企業はお宝株なのでは？」という思惑買いが入り、株価は急上昇します。
仕出株への投資は慎重に
仕出株は短期的には大きく値上がりすることもありますが、仕手筋が手を引いた後には急落することが多く、リスクも非常に大きい投資先です。高値掴みを避けるためにも、情報に踊らされず冷静な判断が重要です。
もし注目している銘柄が急騰している場合は、その背景にある取引量、浮動株比率、IR（企業発表）などをしっかり確認しましょう。仕出株に無闇に手を出すのは、まさに「プロの投資家が仕掛けた罠」に飛び込むようなものです。
まとめ
仕出株とは、仕手筋によって仕掛けられた投機的な銘柄のこと。
仕手筋は株価を意図的に動かして利益を得る一方で、一般投資家はその波に乗るか、飲み込まれるかのハイリスクな投資になります。
仕出株に興味がある方も、まずはその仕組みとリスクをよく理解した上で、慎重に投資判断を行うようにしましょう。
