体をやさしく温める和のドリンク「くず湯(葛湯)」とは
くず湯は、葛(くず)のでんぷんを主原料に、砂糖などで甘みをつけて熱湯で溶いた、とろみのある温かい飲み物です。口当たりがなめらかで喉に負担が少なく、冷めにくいのが特長。古くから体調不良時の流動食や産前産後の栄養補助、離乳食の一部としても親しまれてきました。近年はフレーバーのバリエーションも増え、デザート感覚で楽しめる一杯として再評価されています。
市販で買える!手軽でおいしいおすすめ葛湯
永谷園「『冷え知らず』さんの生姜くず湯 りんご」
生姜のぽかぽか感に、りんごの爽やかな甘みをプラス。さらにシナモンがふわっと香り、まるで“飲むアップルパイ”のように楽しめます。夜のリラックスタイムや、甘いものが欲しいのにカロリーは控えたいときにぴったり。レモン汁を数滴足すと後味がキュッと締まって、気分転換にも◎。
永谷園「『冷え知らず』さんの生姜くず湯 あずき」
やさしい小豆の甘さと生姜の温感が好バランス。小腹が空いたときのおやつ代わりにも重宝します。温かいお湯で溶かしたら、塩をほんのひとつまみ加えると小豆の風味が引き立ち、満足度がアップします。
天極堂「シナモン生姜葛湯」
吉野本葛の老舗が手がける一杯。キレのよいとろみと、しっかり感じる生姜・シナモンの香りが特長です。甘さは控えめで、暑い季節の冷房冷え対策や、在宅ワーク中の体温めにもおすすめ。少量の牛乳で割る“ミルク割り”にすると、コクが出てさらに満足感の高い仕上がりに。
天極堂「ココア葛湯」
和の葛とココアの意外な好相性。とろとろの口当たりは“食べるホットココア”のようで、甘いものが恋しいときの置き換えデザートにも。仕上げに粗挽きの黒胡椒をほんの少し振ると、ビターな大人味に変化します。
名産地で選ぶ“ご当地葛”の魅力
葛粉は地域ごとに製法や原料の選別が異なり、風味やとろみの出方にも個性があります。原材料表示に「本葛」「葛澱粉」とあるものは、くず根由来のでんぷん含有が高いのが一般的。とろみの透明感や舌触りの良さにこだわるなら、産地にも注目して選びましょう。
白石葛(宮城県白石市)
澄んだとろみと上品な甘みが特長。東北らしい素朴さと力強さがあり、和菓子や葛餅にも重宝されます。
掛川葛(静岡県)
淡い色合いで雑味が少なく、だしや抹茶と相性抜群。食事系の葛汁に仕立てるのもおすすめです。
宝達葛(石川県宝達志水町)
加賀・能登の気候風土が育む伝統の葛。滑らかな口当たりで、冷めてもとろみが持続しやすいのが魅力。
吉野葛(奈良県)
本葛の代名詞ともいえる存在。澄明感のあるとろみと、のど越しの良さは別格。甘味にも料理にも幅広く活躍します。
伊勢葛(三重県)/若狭葛(福井県)/秋月葛(福岡県)
各地で受け継がれてきた在来の製法が息づく葛。地域色豊かな味わいで、お土産や贈り物にも喜ばれます。
効能だけじゃない!葛湯を“おいしく続ける”コツ
基本の作り方とダマになりにくいコツ
粉末タイプはカップに入れて熱湯をそそぐだけですが、より滑らかに仕上げたい場合は、少量の水でペースト状に溶いてから熱湯を加えるのがコツ。鍋で練る場合は弱火で透明感が出るまで絶えず混ぜ続けると、なめらかで美しいとろみになります。
アレンジ例(気分や体調で使い分け)
- 柑橘+生姜:すりおろし生姜に柚子やレモンの皮を少量。爽やかさと温感を両立。
- 抹茶/ほうじ茶:粉末茶を少量加えて和の香りをプラス。甘さ控えめ派に。
- ミルク葛湯:牛乳や豆乳で割ってコクをアップ。夜の“飲むデザート”に。
- 塩葛湯:甘みを極力控えて塩をひとつまみ。食事のお供や朝の一杯に最適。
知っておきたい、葛湯の6つのうれしいポイント
1. 喉にやさしい
ゼリーのようなとろみで摩擦が少なく、咳き込みやすいときでも飲み下しやすいのが利点です。
2. 流動食として使える
体調がすぐれないときや食欲が落ちたときでも、温かく消化にやさしいエネルギー源になります。
3. からだを内側から保温
冷めにくい性質と、生姜など温感素材との相乗効果で、冷え対策に役立ちます。
4. 間食の満足感アップ
とろみで満腹感を得やすく、甘さを上手にコントロールすれば“罪悪感の少ないおやつ”に。
5. お腹の調子を整えるサポート
やわらかいとろみは腸を刺激しにくく、体調に合わせて味付けを調整しやすいのも利点です。
6. リラックス&カフェインフリー
寝る前でも安心。湯気とやさしい甘さが、緊張しがちな一日の終わりをほっと解きほぐしてくれます。
選び方のポイントと保管のコツ
原材料表示をチェック
とろみや口当たりにこだわるなら「本葛」「葛澱粉」の表記に注目。ブレンド粉も手軽で便利ですが、好みの質感を見つけるために複数試してみるのもおすすめです。
甘さの調整ができるタイプも便利
無糖の葛粉に自分で砂糖やはちみつを加えると、体調や嗜好に合わせて微調整が可能。糖質を控えたい場合は甘味料を少量にして、風味素材(生姜・柑橘・抹茶など)で満足感を出すのがコツです。
保存は湿気対策が基本
粉末は湿気を吸いやすいので、密閉容器に入れて冷暗所へ。個包装タイプは携帯にも便利で、オフィスや旅行先でも活躍します。
まとめ:伝統の一杯を、いまの暮らしに
くず湯は、からだをやさしく温めてくれるだけでなく、フレーバー次第で“飲むデザート”としても楽しめる万能ドリンク。市販のフレーバー葛湯で手軽に、産地にこだわった本葛で贅沢に──気分や体調に合わせて選べるのも魅力です。日々のセルフケアに、ぜひ一杯の葛湯を取り入れてみてください。