虚偽の被害届は罪に問われる?
被害届の内容が事実でなかった場合、法律的に罪に問われるのか、そして逮捕される可能性はあるのか気になるところです。
実際、存在しない事件を申告すること自体が法律違反となる場合があります。
軽犯罪法では「虚構の犯罪や災害を公務員に申し出た者は、拘留または科料に処せられる」と定められています。
拘留は1か月未満の身柄拘束、科料は1万円未満の罰金を意味します。
つまり、嘘の被害届を出す行為は軽犯罪法違反にあたり、場合によっては処罰される可能性があるのです。
ただし、通常は悪質性が高いケースを除き、逮捕や起訴にまでは至らず、警察からの注意で終わることも少なくありません。
虚偽告訴罪に当たる場合
被害届の内容が嘘であっても、単に虚構を申告したにとどまる場合と、特定の人物を陥れる目的で虚偽の申告をした場合とでは大きな違いがあります。
虚偽告訴罪とは?
刑法第172条では「虚偽告訴罪」が定められています。
これは、人に刑事処分や懲戒処分を受けさせる目的で虚偽の告訴や告発をした場合に成立し、**3か月以上10年以下の懲役刑**が科される可能性があります。
軽犯罪法違反が比較的軽い処罰であるのに対し、虚偽告訴罪は他人を巻き込む重大性があるため、はるかに重い刑罰が定められています。
無実の人が逮捕や起訴される危険を生むため、非常に悪質な犯罪と見なされるのです。
怪我を偽った場合はどうなる?
「怪我をしました」と虚偽の申告をしただけでは犯罪にはなりませんが、それを警察に届け出てしまうと「虚偽申告」に該当します。
さらに、その虚偽の申告が特定の人物を刑事処分に追い込むことを目的としていた場合には「虚偽告訴罪」となります。
逮捕に至るかどうかは、証拠や虚偽の悪質性によって判断されます。
例えば、監視カメラや目撃証言など客観的に虚偽と立証できる証拠があれば、逮捕や起訴の可能性も高まります。
虚偽の被害届によるリスク
虚偽の被害届は、軽い気持ちで出したつもりでも法律違反となり得ます。
特に相手を陥れる目的がある場合は、虚偽告訴罪として重大な刑罰を科される危険性があります。
さらに、虚偽の被害届によって相手の社会的信用を傷つけた場合、名誉毀損や損害賠償請求の対象となる可能性もあります。
まとめ
・事実でない被害届を出すことは軽犯罪法違反にあたり処罰される可能性がある
・特定の人物を陥れる目的で虚偽の告訴を行えば「虚偽告訴罪」として重罪となる
・場合によっては懲役刑や損害賠償請求につながる危険性がある
被害届は重大な法的手続きです。安易に虚偽の申告をすることは、社会的信用を失うだけでなく、重い刑罰を招く恐れがあるため、絶対に避けるべき行為だといえるでしょう。